超リッチな層が確実に増えている世相を反映し、全長10メートル超クラスの1隻1億円前後という豪華な大型クルーザーの売れ行きが“波に乗って”いる。日本舟艇工業会によると、このクラスの2006年の販売隻数は前年比56%増の159隻。モーターボート日本最大手のヤマハ発動機は同2・3倍に急増した。
全長約16メートルとヤマハ発最大のクルーザー「530コンバーティブル」の価格は約1億8000万円。船内は高級な化粧板で覆われ、広々としたリビングルームや豪華なダブルベッドを設(しつら)えた寝室などすべてエアコン完備だ。販売実績は明らかにしていないが、「売れ行きは好調」(ヤマハ発広報部)という。
トヨタ自動車が05年末に発売したフラッグシップボート「PONAM−45」(全長約15メートル)の価格も1億円超。年間7、8隻程度を販売する計画だが、人気の高さに一時受注をストップした時期もあった。
日本勢に加え、輸入高級クルーザーも人気が高い。輸入艇は販売統計に含まれていないものも多いため、実態の売れ行きは統計以上。今月15日から18日まで横浜市みなとみらいで開催されたジャパンインターナショナルボートショーは、大型クルーザーの購入を検討する客で盛況だった。大型クルーザーの好調により、モーターボートの平均購入単価も03年の234万円から06年には約2・5倍の574万円に急騰している。
気になる購入者のプロフィルはというと、資産家や医者、弁護士に加え、最近では「いわゆるIT社長が増えている」(ボート業界関係者)という。
また、「売れ行きが株価と連動している」(同)のも特徴だ。株式市場が低迷した昨年後半から今年はじめにかけては低迷し、今年に入ってからの株高で再び売れ始めた。購入者のなかに株長者が少なからずいることも間違いなさそうだ。
しかし、大型を除く中・小型艇の売れ行きは低迷しており、モーターボートの総販売台数はここ2年連続して減少した。超リッチな購入者の増加とは裏腹に、業界ではユーザー全体のすそ野が狭まっていることに危機感を高めている。
このためヤマハ発は、最近購入が増え始めたという定年退職した団塊の世代をターゲットに、今後新たな販促活動を展開する予定。また、昨年4月から始めた会員制のボートレンタル事業も一層拡充する方針だ。
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