1987年に熊本県阿蘇で行われた野外ロックライブの音源です。若干、ドキュメンタリー風です。作りはNHKのドキュメンタリーそっくりです。
これから長々とつべこべ書きます。
今だけの劇場公開。
TV放送も、DVD発売もないそうです。
興味がある人は必見です。ぜひ見てください。
ブルーハーツ、白井貴子、ハウンドドック、BOOWY、尾崎豊、渡辺美里など代表曲を引っさげての生演奏。今はなきバンドや絶頂期の頃の音源は迫力あります。コレを逃して後悔するより、見てから後悔する方をおすすめします。
ここから長いので頑張ってください。(ネタバレ含む)
1987年。今から25年前。
またフジロックも携帯電話もインターネットもない頃の話。
そのころはまだまだ骨太ロックが全盛期で、バブルも弾ける前の景気が良い頃の話。
熊本県阿蘇山でひとつの野外ライブが行われました。
8月21日リハーサルは快晴。美しい風景と、暑くともさわやかな風が吹き抜ける阿蘇山麓。
巨大なステージと、格別の音響設備。あまりのスケールの大きさに期待は膨らみ、出演者の誰もが成功を信じて疑うはずもありません。
8月22日開場後、お客さんが入り始め。昼過ぎに猛烈な風が吹き抜けます。
そして突然のスコール。
スピーカーにかぶせたブルーシートは吹き飛び、ステージ上には屋根がなく、急遽シートを被せて対応するもののステージ上はびちょ濡れ。待っている誰もがレインコートを持たず、傘やゴミ袋に身を包み、ぬかるんだ足元は靴などただの重しにしか感じません。
ここで主催者側から「雨が止むのを信じて待ちましょう」という呼びかけとともに、ヘッドラーナーの「ブルーハーツ 甲本ヒロト」がマイクパフォーマンスで場をつなぎます。
そして演奏開始。最初はうまくいきました。雨もやんで楽しい時間がやってきます。
しかし、それもつかの間。再び雨。しかもバケツをひっくり返したような豪雨。
それが延々とずっと続きます。ステージ上の出演者に出した紙カップには雨水がドバドバたまり、ステージは水びだして感電する危険性がでてきました。丘陵地に客席を作ったため、流れてきた雨水はステージにあたって横に広がり、スタッフルームは足元を濁流が流れていきます。
7万人の観衆と、午後5時からスタートした深夜ライブのために夜に解散することが出来ず、朝までプログラムを強行するしか方法ありませんでした。寒さと恐怖に震えながらも「待っているお客さんのために」「このまま無事に朝が迎えられるように」必死にパフォーマンスで勇気づけ、励まし合い、乗り切っていこうとする出演者。純粋に音楽を楽しみにしていた観客はただひたすらに曲に聞き入り、時間が経つのを忘れることしか出来ません。
真夜中を過ぎ、朝の冷え込みに雨が加わると、一層事態は深刻を増していきます。
スタッフも観客も精魂尽き果て疲れきって、それでもライブは終わるどころか続けるしかありません。
たった一晩の、忘れられない、唯一のライブ。
その熱狂的だけどとても不幸としか思えないライブは必見の価値有りです。
ここからは技術的な話。
当時のビデオカメラ撮影なのでもちろんながら、画質はSD。4:3フォーマット。
それに正直な話、ライブ音源って当たり外れがひどい(PAもらい音源とかクソ)ので心配しましたが。
音源がクリアでびっくりしました。さすがSCI。
劇場公開用(または放送用?)に聴きやすいように調整してあるので、音声が非常にクリアで聞き取りやすい。全くの不満がありませんでした。
それでも、ライブ中にトラブルが多発。
白井さんが歌っている間にギターとベースの音がぷつりと切れます。同時にステージ上の返しスピーカーが使用不可に。
雨で機器が死んでしまったようで復帰するまで、どうしようもなくドラムとピアノだけで続行。
ステージに雨がふるのでテントを建てたけど、足元抑えないと突風で飛びそうになったり。
スピーカーがないのでギターの音をサイドのスピーカーで代用したり。
HIBINOさんが最後まで雨と格闘し、四苦八苦した様子がよくわかります。
そういう点で雨が降り始めるとマイクの音がぼやけていたり、ギターの音が変な感じになっていて臨場感が伝わってきました。
一方の映像は、ハンディカメラの収録と当日の映像をうまいことつなぎあわせてあります。
というか、これだけの台数とテープの記録量を考えると普通に考えてもものすごい本数です。当時はBETACAM(で、合ってんのか?)の頃のはずなので、テープは長くて90分。ライブは12時間あるので1台で8本?
カメラが10台ぐらいあったら、かける10倍。その時点で僕的にはウワーってかんじですね。
まあ、画質なんて合ってないようなもんなので、それよりも雨ですよ。雨。
もう、ここまで降ってたら何かの演出じゃないかと思うところもあるけれど、これが事実でみんな死にそうな顔で、全然笑顔がなくて、音を楽しむどころじゃない。こんな野外ライブは最初で最後でいいと思います。
もう金輪際、見られないんだったら、最後に一度だけ見てみてください。